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第2回:企業内での保全プログラム (スキーム) の進展順序
EAM のコンサルタントであるTerry Wireman は、彼の著書[1] の中で、 保全業務の進展の様子を保全業務の機能として分類し、各機能で必要な業務指標について説明しています。
今回のメールマガジンでは、彼の唱える保全業務のプロセスを紹介しながら、日本での状況と比較したいと思います。 海外の保全スキームは、日本の風土に合わない場合がありますが、彼が提示する保全業務のプロセスは、 そのまま日本の保全業務の改善スキームに当てはめることができます。 以下に、本著書を参考にプロセスとそこで必要なツールや考え方を追記して説明したいと思います。
以上は、保全システムの有無に関係なく、多くの企業が実施している内容です。 多くの企業では Excel ブック等を用いて管理を行い、社内や部門のファイルサーバ上でルール付けをして管理を行っているところが多いと思います。
ただし、もしも適切な保全システム等を用いずに、ファイルや人力で管理している場合、情報が一元管理されていないため、同一情報の修正漏れや、これに基づいて実施されるメンテナンスの不具合等が発生する可能性があります。
以上で、保全に関わる基本情報が出現しました。 計画作業および計画外で発生する作業を文書ファイル、スプレッドシートとメールやファイルサーバ等を用いて、 手作業で管理する場合やドキュメント管理システムやグループウェア等を用いて管理する場合があります。
以上は、保全業務、顧客へのメンテナンスサービスを提供していく上での基本的な仕組み (インフラ) です。 情報が一元管理されることで、以後の業務の改善に繋がっていきます。
企業の中で、上記が適正な状態にあるかをどうやって判断するか。 ひとつのほう方法として業務指標 (Performance Indicator)を用いる方法があります。 一元管理された保全に係る情報や関連情報を統計処理し、指標として用いる方法です。 例えば、保全情報がデータベースに一元管理されている場合、この状況を評価するための指標には、
等があります。事後保全 (BM)や緊急保全 (EM)の発生は、 作業の再調整、中止やコスト高を引き起こし上記指標の値を変化させます。 各指標のトレンドを得ることにより保全業務の状況を把握することが可能になります。
※可視化の方法、業務指標等の統計データ表示 も併せて参照して下さい。
ここで、重要なことは、業務指標を用いるためには、 正確な情報が一元管理されている必要があることです。 これを実現するために、CMMSやEAMの様な保全管理システムを導入することが考えられます。 但し、これらのシステムを導入しても、管理のための情報入力を現場に課す様では、運用はうまくいきません。 日常業務を実施していく中で、自然に情報が蓄積される仕組みを用意する必要があります。 言い換えると、業務フローに基づいた作業を実施していく中で必要な情報が蓄積されていく必要があります。 更に、画面構成や操作性は、『直感的につかえる』、『操作が簡単』、『直にどこでも使える』 状況にしなければ、必要な情報の収集は、困難になります。
保全システムを用いて情報を一元管理する場合、 前述の項番1〜11のどのレベルを達成したいかにより管理すべき情報が代わります。 また、業務フローに基づいた保全業務プロセスをどこまで保全システムで管理するかでも管理すべき情報が代わります。 更に、これに企業風土や特殊性が加味され、保全システムに必要な機能や構成は、各社各様になります。 カタログベースでは、やりたいことを殆ど網羅するが、実際に利用するとうまくいかないケースが発生します。 今後のメールマガジンの中では、保全情報の持ち方、GUIの困難さについても検討したいと思います。
企業内で保全業務の状況を判断する方法として業務指標を用いる方法を紹介しました。 では、良い方向に進んでいるのか、悪い方向に進んでいるのか? 同業他社と比較してどうなのか? 他社の保全状況は、どうなのか? をどうやって評価するかが次の問題となります。
よく、ベストプラクティスという言葉で表現されますが、 前述した1〜11の指標をうまくいっている企業と比較して自社の弱いところ、強いところを評価し、 今後の保全方針を立てる方法も考えられますが、保全の分野では、意味がありません。 理由として、
等が挙げられます。 自社の過去の指標と比較してどうかを検討すべきです (トレンドを評価) 。但し、統計処理を施した指標は、 実態を隠す場合があるので、複数指標の利用、指標の特性やパラメタの公開を行い、平均化のためのパラメータ は、慎重に選択する必要があります。(「magazine について > 業務指標等の統計データ表示について」もあわせてご覧ください)
[1] Developing Performance Indicators Manageing Maintenance、Industrial Press 発行
保全管理システムを選定・導入するにあたり検討すべきガイドラインについて、毎回、テーマを設けて解説します。
前半では近年における各種保全管理システムの現状と動向、 後半では実際の業務にあたっての管理方法との関係に焦点を当てて執筆していく予定です。
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