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第7回:保全管理業務のシステム化の順序と考慮すべき点
企業により保全プログラムの進展状況のどの位置にいるのか、どの様な管理方式を目指すのかは異なりますが、メールマガジン第2号 『企業内での保全プログラム (スキーム) の進展順序』にて、一般化して説明しました。
企業内で保全プログラムを構築し、業務を支援することを目的にコンピューター・システムを利用する(以後システム化と略す)場合、以下のとおり区分することができます。
区分 | 保全プログラムの進展順序 |
---|---|
システム導入 | 1. 予防保全 (PM) |
2. 在庫 (予備品) と調達 | |
3. Work Order システム | |
4. 保全管理システム (CMMS) | |
システム運用 | 5. 技術検討会や教育 |
6. オペレーション部門の包含 | |
7. 予知保全 (PdM) | |
8. 信頼性中心保全 (RCM) | |
9. 全員参加型保全 (TMP) | |
10. 統計的手法による財務最適化 | |
11. 改善の継続 |
保全プログラムの進展順序については、メールマガジン第2号をご参照下さい。
システム化の手順は、以下のとおりとなります。
システム化後の運用イメージ、業務の改善点が明確である必要があります。 これまで、システム導入を進めてきた経験から、やりたいことがはっきりしている方が、システム導入は、うまくいきます。 設備情報管理の観点および業務支援両方の観点から考える必要があります。
業務を支援しながら、必要な情報が蓄積されることが重要です。
『管理するための情報を別途入力する必要がある』は、なるべく避けることが望ましいです。
ベンダーが提供する汎用の設備保全システムとのフィット・ギャップを考慮[1]、自前で作成(インハウス)等、色々な観点から考える必要があります。
システムの選定に関する評価ポイントについては、第12号で掲載する予定です。
運用では、保全プログラムのパラメーター設定(保全周期、・・・)、業務の遂行と情報の蓄積、結果の評価、保全プログラム見直しのPDCAループが適用されます。
注)[1] 殆どの設備保全管理システムベンダーが提供するソフトウェアには、業務のモデルが組み込まれています。 企業でやりたいことを明確にしておくことで、フィット・ギャップが明確にでき、システム化範囲、カスタマイズ範囲を明確にすることが可能になります。
システム化作業および運用のフローを以下に示します。
図1 システム化作業および運用フロー
保全業務をシステム化する場合、設備情報と業務情報(業務フロー)の両面から検討する必要があります。 設備情報は、実装する保全形態、作業形態で設備階層の表現や粒度が異なります。 故障を数値的に管理したい場合は、部位まで表現されると集計が簡単になります。 工事の発注やその状況を扱いたい場合は、発注単位で設備が識別できる必要があります。 設備の保全履歴と工事の両方を管理したい場合は、作業を個別に扱う機能の他に一括して扱う機能が必要になります。 図1中の設備情報整備は、現行の保全方式の見直しに繋がります。 図1の『設備台帳整備』と『計画保全整備』は、保全方式、過去の履歴の見直しを行うことそのものです。 例を図2に示します。
図2 保全プログラムの構築
業務情報整備では、業務フローに基づく書類の流れ、決裁権限をシステム化します。 実際の業務では、図2で示した保全形態の他に、オペレーターからの作業依頼やアウトソースを利用する場合もあり、承認行為をシステム化しておく必要があります。 また、設備の保全履歴を残すためにも、これらの作業記録を設備と関連付けて残す必要があります。
本稿では、保全管理業務をシステム化する場合の手順を示しました(図1参照)。
システム化では、設備情報管理の観点、業務支援の観点の両面から考える必要があります。
導入検討時は、設備情報、保全形態、業務フローの見直しを含んだ上で、システム化作業が実施されます。
よって、システム化を検討、導入する企業は、明確に、導入時のメリット・デメリット、導入後のイメージを持ち、検討を進める必要があります。
保全管理システムを選定・導入するにあたり検討すべきガイドラインについて、毎回、テーマを設けて解説します。
前半では近年における各種保全管理システムの現状と動向、 後半では実際の業務にあたっての管理方法との関係に焦点を当てて執筆していく予定です。
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