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第10回:システム(系や系統)の評価とCMMS/EAMによる管理
図1 信頼性評価で用いる指標
故障率と信頼性情報の関係を考えるために、摩耗故障を有する機器について考えます。
1.ある機器の故障率が、下図の特性を示すものとします。 故障率の最初は、偶発故障を示しますが、途中から摩耗故障を有するものとします。 横軸は、時間です。
図2 故障率
2.項番1に示す特性を持つ機器を100台設置したものとします。 100台の機器は、項番1に示す故障率で故障し、時間とともに生存数が少なくなります。 特に途中からは、加速度的に生存数が減少します。
図3 生存数
3.生存数は、どの様な割合で減少するのでしょうか。 それは、瞬間での故障数を参照すれば判ります。 ある瞬間の故障数は、生存数 × 故障率 で求まります。 この故障数を横軸時間のグラフで表すと以下のとおりとなります。
図4 故障数
ここで、留意すべき点として、故障数は、現在の生存数に故障率を掛けていることです。初期台数の100に故障率を掛けるものではありません。
4.故障数を積み上げることにより、設置時からの累積故障数が判ります。 横軸を時間とし、累積故障数をグラフに表すと以下のとおりとなります。
図5 累積故障数
5.以上は、100台の機器についてのお話でした。これを一般化するために、 全体の初期台数を1とします(規格化)。この操作により、 それぞれは、確率と考えることが出来ます。 以下に、変更後のグラフを示します。グラフの形状は同じです。最大値が異なっています。 信頼性評価の世界では、それぞれを信頼度、故障確率密度、不信頼度と呼びます。
図6 信頼性評価指数
覚え方として、信頼度は生存数、故障確率密度は、瞬間の故障数、不信頼度は累積故障数と関係していると考えると、イメージがわくと思います。 上図の不信頼度グラフに記載の▽マークは、B-Lifeと呼ばれる指標値です。 不信頼度(0〜1の範囲の値)に対して、パーセンテージを指定し、 指定されたパーセンテージへの到達時間を表します。 例えば不信頼度が0.1%(1000台中1台目が壊れる時間)に到達する時間は、 2年(17520時間)を表す場合、「B0.1は17520時間」の様に用い 、「B0.1で検査を実施」などの様に用います。
以上をまとめると、信頼度、不信頼度、故障確率密度と故障率には、密接な関係があり(必要に応じて見方を変えたもの)、何れかが判ると他の指標も判ります。 CMMS/EAMを用いて、故障を管理している場合、時間軸に対する故障数を集計することが出来ます。時間軸に対する故障数が判れば、故障率、信頼度、不信頼度の時間依存が判ります。 この特性を生かした故障分析の手法にワイブル分析があります。
保全管理システムを選定・導入するにあたり検討すべきガイドラインについて、毎回、テーマを設けて解説します。
前半では近年における各種保全管理システムの現状と動向、 後半では実際の業務にあたっての管理方法との関係に焦点を当てて執筆していく予定です。
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