Particle-PLUS プラズマモジュール(PIC-MCC法ベース)
プラズマモジュールでは、粒子法のひとつであるPIC法(Particle In Cell method)を採用し、 シミュレーション粒子の挙動を直接計算します[1,2]。 また、気相反応はモンテカルロ衝突法(Monte Carlo Collisions method; MCC法)で計算します。 このため、電磁場中での粒子が運動することで実際のプラズマの挙動に近い現象を再現することができ、 通常の流体・連続体近似では困難な非平衡プラズマのシミュレーションが可能となります。
[1] C.K. Birdsall and A.B. Langdon, "Plasma Physics via Computer Simulation" (McGraw-Hill,1985).
[2] K. Nanbu, IEEE Trans. Plasma Sci. 28,971 (2000).
PIC-MCC法PIC-MCC method

基本方程式Equations
ニュートンの運動方程式
\[ m\frac{\mathrm{d}\vec{v}}{\mathrm{d}t}=m\vec{g}+q\left(\vec{E}+\vec{v}\times\vec{B}\right) \] \[ \frac{\mathrm{d}\vec{x}}{\mathrm{d}t}=\vec{v} \]
運動論的衝突
\[ \overline{\tau}^{\,-1}=n\,\sigma\,\overline{v} \]
ポアソン方程式
\[ \Delta\phi=-\frac{\rho}{\varepsilon} \]
ガウスの法則
\[ \vec{E}=-\vec{\nabla}{\phi} \]
空間モデルと使用可能メッシュCoordinate systems and Meshes
2D平面モデル
- 2Dデカルト座標系 (X, Y)
- 直交ベースの2Dメッシュ、カットセルにも対応
回転対称モデル
- 軸対称の円柱座標系 (R, Z)
- 直交ベースの2Dメッシュ、カットセルにも対応
3Dモデル
- 3Dデカルト座標系 (X, Y, Z)
- 直交ベースの3Dメッシュ、カットセルにも対応

プラズマモジュールの入力項目Inputs for plasma module
境界条件
- 電極、誘電体
電極電圧
- 直流(直流バイアス)
- 正弦波、短形波、三角波、およびそれらのパルス
- 複合波
コイル電流
- 正弦波、三角波
磁場
- 磁石の設定(プラズマモジュール内の磁場計算機能を使用)*1
- 磁場データ読み込み(外部モジュール・外部ツールの結果読み込みにも対応)*2
外部回路素子
- 誘導係数(インダクタンス)
- 電気抵抗(レジスタンス)
- 静電容量(キャパシタンス)
実験室条件
- チャンバ内の中性ガス密度または圧力*3
- 温度
衝突反応・気相反応
- 反応データベース(編集可能)により設定
- 弾性衝突、励起、電離、解離、電子付着、電荷交換、原子交換 などの衝突過程・反応過程
表面反応
- 帯電(誘電体、浮遊電極、接続されたコンデンサ)
- 壁に到達した粒子の反射 (乱反射、鏡面反射)
- 壁からの2次粒子(電子・イオン)放出*4
- 壁での荷電粒子(電子・イオン)流入出*4
*2 Particle-PLUSの磁場モジュールや、JSOL社製品のJMAG 等の計算結果ファイルを指定可能。
*3 一様分布の他に、中性ガスモジュールで計算された分布も指定可能。
*4 粒子放出時の角度分布は等方的・角度指定・$\cos^{n}$則による指定が可能。
プラズマモジュールの出力項目Outputs from plasma module
空間分布データ
- 数密度*1
- 流速*1,*2
- エネルギー*1
- 温度*1
- 反応生成量*1
- 電荷密度
- 電位
- 電場*2
- 磁場*2
- ジュール熱
- デバイ長
- ラーモア半径
- プラズマ振動周波数
- サイクロトロン周波数
表面分布データ
- 入射粒子数*1
- 入射エネルギー*1
時間推移データ
- 総粒子数*1
- 反応比
- 電極電圧
- 自己バイアス電圧
- 帯電電荷量
- 消費パワー
ヒストグラムデータ
- 表面入射エネルギー*1
- 表面入射角度(極角・方位角)*1
- 空間電子エネルギー(EEDF)
- 空間イオンエネルギー(IEDF)*1
*2 ベクトルとして、ノルム・成分がそれぞれ出力されます。