Particle-PLUS 中性ガスモジュール(DSMC法ベース)
中性ガスモジュールでは、粒子法のひとつであるモンテカルロ直接(Direct Simulation Monte Carlo method;DSMC法)を採用し、 希薄気体(希薄流体)のガス流れを計算します[1,2]。 本モジュールで計算したガス密度はプラズマモジュールに反映できます。 反対に、プラズマモジュールで得られた励起種やラジカルの生成分布からはそれらの密度分布の計算が可能です。 さらに、スパッタ粒子の挙動も計算できます。 また、本モジュールはアレニウス形式の化学反応データを扱うことができ、 気相中でのスパッタ粒子の化学反応も考慮できます。
[1] G.A. Bird, "Molecular Gas Dynamics", (Clarendon Press, 1976).
[2] G.A. Bird, "Molecular Gas Dynamics and the Direct Simulation of Gas Flow", (Clarendon Press, 1994).
DSMC法DSMC method

基本関係式Equations
ニュートンの運動方程式
\[ m\frac{\mathrm{d}\vec{v}}{\mathrm{d}t}=m\vec{g} \] \[ m\frac{\mathrm{d}\vec{x}}{\mathrm{d}t}=\vec{v} \]
運動量保存則
\[ m_{1}\vec{v}_{1}+m_{2}\vec{v}_{2}=m_{1}\vec{v}_{1}^{\prime}+m_{2}\vec{v}_{2}^{\prime}=\mathrm{const.} \]
運動論的衝突
\[ \overline{\tau}^{\,-1}=n\,\sigma\,\overline{v} \]
理想気体の状態方程式
\[ P=n\,k_{\mathrm{B}}\,T \]
空間モデルと使用可能メッシュCoordinate systems and Meshes
2D平面モデル
- 2Dデカルト座標系 (X, Y)
- 2Dメッシュ、カットセルにも対応
回転対称モデル
- 軸対称の円柱座標系 (R, Z)
- 2Dメッシュ、カットセルにも対応
3Dモデル
- 3Dデカルト座標系 (X, Y, Z)
- 3D直交メッシュ、ヘキサドミナントメッシュ、四面体メッシュ

中性ガスモジュールの入力項目Inputs for neutral gas module
流入条件
- 単一 / 混合ガス
- 流量指定 / 圧力指定
- 流入角度分布*1
流出条件
- 排気速度指定 / 圧力指定 / Ho係数指定
- ガス種ごとに異なる指定も可能
励起種やラジカルの発生*3
壁条件
- 吸着(吸着確率)
- 反射(乱反射・鏡面反射の比率)
- 蒸発(蒸発量、温度、放射角度分布*1)
- 表面反応(反応モデルを指定)
- スパッタリング*2
分子間衝突
- 弾性衝突
- 非弾性衝突・気相反応(反応モデルを指定)
- 無衝突モデルも選択可能
*2 角度分布は、等方的・角度指定・$\cos^{n}$則による指定が可能。
*3 スパッタ条件には、プラズマモジュールのイオンフラックスの結果を利用する。
中性ガスモジュールの出力項目Outputs from neutral gas module
空間分布データ
- 数密度*1
- 流速*1,*2
- 温度*1
- エネルギー*1
- 圧力
時間推移データ
- 総粒子数*1
ヒストグラムデータ
- 表面入射角度*1
表面分布データ
- 入射粒子数*1
- 入射エネルギー*1
- 成膜レート(デポジションレート)*1
- スパッタリングターゲットの浸食レート(エロージョンレート)
*2 ベクトルとして、ノルム・成分がそれぞれ出力されます。