Particle-PLUS 事例集 - 同時スパッタリング装置のプラズマ解析
ウェーブフロントでは「粒子法」でプラズマをモデル化したシミュレーションソフトウェア『Particle-PLUS』や 「流体法」のプラズマシミュレーションソフトウェア『VizGlow』を取り扱っており, これらを適宜使い分けながら皆様方へ長年ソリューションを提供しております. 本コラムを読んでプラズマシミュレーションに少しでも興味をお持ちになりましたら 資料請求や 無料セミナーなど承りますので, いつでもお気軽にお問い合わせください.
計算条件Simulation Condition
Particle-PLUS では,基盤とターゲットが平衡でないような装置の3D解析が可能です.
ここではその一例として同時スパッタリング装置のプラズマ解析を紹介します.
下図に示したような同時マグネトロンスパッタ装置を考えます.
▲ 解析対象の同時スパッタリング装置.
Particle-PLUS では直交格子を用いることで自己無撞着な電場計算を高精度に行っていますが, 今回の例のように直交格子ではその形状が再現できない場合に対してはカットセル格子作成技術が有効です. これにより形状を正確に再現して各部位の法線方向を正しく考慮しながらも,直交格子を使うメリットであった高精度な電場計算が可能になっております.
▲ カットセル格子(切断図と拡大図).
計算結果Numerical Results
下図は計算結果として得られたチャンバ内のプラズマ密度分布です. 2種類の金属ターゲット(Fe,Pd)では2次電子放出率が異なるため,左右のターゲット上のプラズマ密度は互いに異なることが分かります.
▲ 同時スパッタリング装置内のプラズマ密度.
また,Particle-PLUS はマグネトロン装置内部の磁場の最適化ツールとしても活用可能です.
今回の例では2系統の磁気回路の簡単な足し合わせですが,
Particle-PLUS は使いやすい磁場計算モジュールを内包しており磁石配置のCADデータさえあれば直感的な GUI 操作により装置内部の磁場計算がすぐに行えます.
また,そのようにして得られた磁場分布データをプラズマ計算にそのまま流用することで,異なる磁場に対するプラズマの応答を調べることが可能です.
例として,closed な磁場形状の同時スパッタリング装置と mirrored な場合との比較を下図に示します.
▲ 磁場形状によるプラズマの様子の違い.
まとめSummary
今回は同時スパッタリング装置のモデル化を行いシミュレーションしてみました.
Particle-PLUS では,基盤-ターゲットが斜めに向かい合っている場合や曲率を帯びた場合であってもプラズマ・スパッタリングの解析が可能です!
また,マグネトロン装置を利用する者にとっての大綱である磁場分布の最適化についても,Particle-PLUS を使って支援することが可能です!
ぜひとも,我々にそのような高難度の薄膜生成・装置設計業務の支援をさせていただければ幸甚です.
少しでもご興味がございましたらお気軽にお問い合わせください.
上野 崚一郎 | 博士(理学) 1991年 広島県生まれ 2019年 ウェーブフロント入社 2019年 広島大学大学院理学研究科 博士後期課程修了 学生時代は数値シミュレーションを使った素粒子論(格子ゲージ理論)の研究に従事. 入社後は,専門職(エンジニア)として希薄気体解析・プラズマ解析ソフトウェアの開発をはじめとして, 解析コンサルティング業務や国内外のユーザー向けの技術サポート・トレーニングなどを担当. 最後までお読みいただきありがとうございます. お気づきの点や扱ってほしい話題がございましたらお気軽にお問い合わせください. |