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VizGrain

概要

VizGrainの概要

VizGrainは、粒子の動きをシミュレーションするソフトウェアです。 プラズマシミュレーションソフトウェア 🔗VizGlow と連携して動作し、 真空中、気体中、そしてプラズマ内での、電子、イオン、微粒子などの動き、帯電、衝突、固体表面への堆積などの挙動を解析できます。

VizGrainの機能

  • 複数の粒子タイプ、化学種
  • 粒子に働く力として ローレンツ力、重力、流体からの抗力、熱勾配による力、ブラウン運動を考慮
  • 粒子の帯電
  • Direct-Simulation Monte Carlo(DSMC)法による粒子の衝突モデル
  • Monte Carlo Collision(MCC)法による粒子の衝突モデル
  • 背景流体との衝突
  • Particle in Cell (PIC)法による荷電粒子のモデル化
  • プラズマ、電磁場と流体との連成
  • 並列計算

VizGrainの適用範囲

  • 希薄気体の流れ
  • 低圧プラズマ中の流れ
  • 薄膜のエッチングとデポジション(堆積)
  • 微小粒子の運動(ダスト、飛沫など)
  • 気体の流れ
  • 化学反応
  • 宇宙船の帯電
  • イオンスラスターの中性化

記事

ご興味をお持ち頂けましたら、弊社までお気軽に 🔗お問い合わせ 下さい。

事例

プラズマ内でのアルミナ微粒子の動き

実験で観測された、プラズマ内での微粒子の動き(文献Kobahasyi et al., Thin Solid Films 516, 3469 (2008) ) を、VizGrainのシミュレーションで再現しました。粒子に働く力として、重力、流体による抗力、イオンによる抗力、クーロン力、温度勾配による力を考慮しています。

  • 粒子:アルミナ Al2O3, 密度3950 (kg/m3)、直径 0.5 (μm)
  • 背景気体:アルゴン 4 (Pa)、温度 400 (K) 、温度勾配 1000 (K/m)(左側が高温)、流速 左向きに1 m/s
  • 電場は、直流プラズマのシースを想定して設定
  • 気体の温度 400 K
  • イオンの流束密度 下向きに 6.2 × 1019 (#/(m2 s))

この条件では、流体の抗力が左向きに、温度勾配による力が右向きに働きます。クーロン力は上向きに、イオンによる抗力と、重力は下向きに働きます。

黒点:粒子の位置 紫色:粒子の軌跡 背景の色:電場

事例

シリコンウェハ―上の微細構造内部の帯電

微細な構造の内部を想定した、いわゆる Feature Scale のシミュレーションです。 半導体産業で使われる、シリコンウェハー表面の酸化膜、SiO2の表面に、深さ 1 μm, 幅 0.1 μmの溝があると想定します。 その上方から、プラズマ(CF3+イオンと電子)が流入します。 電子、イオン、そして微細構造内部の帯電の様子をシミュレーションで示します。

動画の赤い点がCF3+イオン青い点が電子です。 イオンが堆積して、溝の底がプラスに帯電していきます。動画の背景の色が、青から赤に変わってきます。

動画の終盤、8.5 ナノ秒あたりからは、電子も溝の底に移動して、溝の底の電位が少し下がります。

赤点:CF3+イオン 青点:電子 背景の色:電位

事例

シリコン窒化膜上の微細構造内への、6塩化2ケイ素 の吸着

上の例と同じく、Feature Scale Simulation です。 シリコン窒化膜の表面に微細構造があります。幅が 5 μmで、深さ 100 μmの溝が10本あると想定します。 この周辺に、圧力 1 Pa で、6塩化2ケイ素が流入してきます。 溝の内部の壁面に、これらが吸着していく様子をシミュレーションしました。

左の図は、溝など全体の形状を黒線で、6塩化2ケイ素分子を速度に応じた色の点でプロットしています。 右下の折れ線グラフは、 溝の壁面のうち、左から6番目の溝の左側の面について、 吸着していないサイト(Si-NHx(s))吸着しているサイト(Si-NHx-Si2Cl5)の分率を示します。 Si2Cl6分子が溝に入ってくるのに伴って、緑色の折れ線で示した(Si-NHx-Si2Cl5)の分率が増加していきます。

左:全体の形状を線で、その中の6塩化2ケイ素を点で示す。 点の色は速度。右:左から6番目の溝の左側の面について、 サイト(Si-NHx(s))サイト(Si-NHx-Si2Cl5)の分率。横軸が分率、縦軸は座標。

事例

イオンスラスターの中性化

宇宙船に用いられるイオンスラスターを想定したシミュレーションです。 陽イオン(ここでは Xe+)を放出する装置なのですが、 イオンだけを放出すると、宇宙船が帯電してイオンと引きあって推力が無くなってしまいます。 その対策として、電子も放出することで、ビームの電荷を小さくし、電位を低くします。

電子ビーム

  • 電流 0.005 A
  • 電子数密度 2.6 × 1015 (#/m3)
  • 速度 2.4×105 m/s, 温度は 2 eV

Xe+ イオンビーム

  • 電流 0.005 A
  • 数密度 3.88 × 1014 (#/m3)
  • 速度 1.6×104 m/s, 温度は 0 eV

背景の色は、空間の電位です。 左端が宇宙船で、そこを電位0とします。

青い点が電子赤い点がXe+イオンです。

事例

3次元:宇宙探査機の帯電

VizGrainは3次元計算を行うことができます。 例として、宇宙空間で、宇宙探査機が電子とイオン(H+)によって帯電する様子のシミュレーションを示します。

電子

  • 電子密度 107 (#/m3)
  • 電子温度 7.5 keV

H+ イオン

  • 温度 10 keV
  • 数密度 2.5 × 106 (#/m3)

空間中の 青い点が電子赤い点がH+イオンです。

断面上では、空間の電位を青色で表示しています。時間がたつごとに、電位が下がっていきます。