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AlN および AlGaN 成長モデル(フルスペックモデル)を利用した事例を紹介します。
図1に、AlN 成長モデルに含まれる反応経路の概略を示しています。@アダクト分子形成に関連する反応経路、A重合分子形成に関連する反応経路、BTMAl の熱分解反応および、NH3, CH3, H に関連する反応経路によって構成されています。
計算対象は成長実験で使用されている水平型反応炉とし、図2 のように2次元でモデル化しています。
原料ガス流量は、TMAl = 47 μmol/min, NH3 = 4.5 slm, H2 = 4.7 slm で、V/III比 = 4300。成長圧力は、10 kPa を指定しています。反応モデルは、図1 で示されるフルスペックの AlN 成長反応モデルを用いています。また、精度の高い炉内の温度分布を得るために、熱解析データに含まれる波長依存の光学物性および、基板/トレイ、トレイ/サセプタにおける接触熱抵抗を考慮しています。
サセプタ温度が 350〜1200 ℃ の範囲で計算を行い、成長速度の温度依存性を確認しました。
図3 に成長速度の温度依存性を示します。成長速度は実験値、計算値共に、ウエハ全体で平均した値を用いています。計算結果(黒線)は600 ℃ より低い温度での反応律速、600 ℃以上での供給律速段階を再現しており、実験値とよく一致しています。この様に、AlN MOVPE 成長過程を十分に再現することができます。
AlGaN 混晶成長においては、特に高い圧力領域において、Al 含有分子と Ga 含有分子の相互反応が顕著になることが知られています。図4 に AlGaN 混晶の成長モデルの反応経路の概略図を示します。図の様に、AlN 成長モデル(フルスペック)および、GaN 成長モデル(フルスペック)に加え、Al 含有分子と Ga 含有分子の相互反応を考慮しています。
計算対象は、AlN 計算と同じ、図2 の2次元モデルを使用しています。
原料ガス流量は、TMAl = 47.3 μmol/min, TMGa = 52.7 μmol/min, NH3 = 4.5 slm, H2 = 4.6 slm です。成長温度は、1025 ℃を指定しています。反応モデルは、図4 で示されるフルスペックの AlGaN 混晶成長反応モデルを用いています。また、精度の高い炉内の温度分布を得るために、熱解析データに含まれる波長依存の光学物性および、基板/トレイ、トレイ/サセプタにおける接触熱抵抗を考慮しています。
成長圧力は、10〜100 kPa の範囲で計算を行い、成長速度および組成の圧力依存性を確認しました。
図5 に成長速度の圧力依存性を、図6 に組成の圧力依存性を示します。図4 に示したAl、Ga 間相互反応を考慮することで AlGaN 成長速度・組成共に、圧力依存性について計算値(実線)と実験値(プロット)がよく一致します。この様に、大気圧付近の高圧力においても AlGaN MOVPE 成長過程を十分に再現することができます。
図5 成長圧力による AlGaN 成長速度の変化 ※ クリックで拡大表示 |
図6 成長圧力による AlGaN 組成の変化 ※ クリックで拡大表示 |