Particle-PLUS 事例集 - 外部回路モデルを用いたCCPシミュレーション
計算概要Computation Summary
Particle-PLUSでは、外部回路として π型マッチングボックス を考慮したCCPシミュレーションが可能です。
マッチングボックスとはCCPデバイスに備え付けられている、インピーダンス整合を行う機器です。
これはプラズマへの電力供給を効率化するための重要な回路であり、プラズマで生じる大電流から電源装置などを守る役目も果たします。
外部回路モデルでは、プラズマによって回路に流れる電流を考慮することで、より現実的なプラズマの挙動を計算することが可能です。
以下のシミュレーションでは
(1) キルヒホッフの法則
(2) 表面電荷保存
(3) 電極上におけるガウスの法則
(4) PIC静電モデルによるプラズマの挙動
をカップルして毎時間ステップごとに解いた結果を示しています。
以下の図1と図2ではParticle-PLUSが考慮しているπ型マッチングボックスと外部回路を考慮したCCPシミュレーションの計算モデルを表示しています。
計算結果Computation Results
Rin:電力供給の抵抗値 50(Ω)
C:直列コンデンサの電気容量 0.5x10-9(F)Cv+Cf:並列コンデンサの電気容量 0.5x10-9(F)
L:コイルのインピーダンス 0.9x10-6(H)
Vrf:電源電圧 250sinωt (V){これは1.2kWのパワーに相当する}
Particle-PLUSに組み込まれているマッチングボックスの入力パラメータを以上のようにして、計算を行った結果が以下の図になります。
図3   (a) RF 電極電位の時間推移 (b) 計算初期のRF電極電位の時間推移
外部回路を考慮していない場合、電圧はsinθにしたがって不自然に急激に立ち上がりますが、 外部回路を考慮することで電圧が滑らかに立ち上がり、現実的な電圧変化を再現していることがわかります。 また、50μsを超えたあたりから定常状態に到達し、約-50Vの自己バイアスが掛かっていることも明示されています。
また、以下は周期平均の電子密度分布、ポテンシャル分布、電子温度分布となります。
図4  定常状態におけるRFサイクル平均の『電子密度分布』
図5  定常状態におけるRFサイクル平均の『ポテンシャル分布』
図6  定常状態におけるRFサイクル平均の『電子温度分布』