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Pumplinx (現SimericsMP+) を用いた内接ギヤポンプの流体解析(CFD)Interview

はじめに

沼波晃志 様(写真左)と池田慎治 様(写真右)

今回はアイシン精機株式会社様(http://www.aisin.co.jp/)にご協力頂きました。
1965年、自動車部品メーカーの愛知工業と新川工業が合併して、アイシン精機様が誕生しました。 2017年3月31日現在、従業員数が連結 110,357人/単独 13,591人、 連結対象会社数が連結子会社206社(国内80社、海外126社)、 持分法適用関連会社11社(国内4社、海外7社)という日本有数の大企業です。 そんなアイシン精機様のCAE技術部のお二人にお話を伺いました。

CAE技術部(2018年1月時点)
グループマネージャー 沼波晃志 様
池田慎治 様

Q1

貴社が流体解析を始めたきっかけは何でしょうか?

当社が開発、提案する自動車製品の中では、流体性能を考慮しなければならないものが多数存在します。 例えばサンルーフは車体周りの空力性能や静粛性に悪影響を及ぼさない設計が必要です。 また、エンジン関連では、オイルポンプやウォータポンプなど、流体の吐出性能と軸馬力で決まる全効率を最適化し、 低燃費に貢献できる必要があります。これらの製品開発を効率良く短期間で実施するためには、 試作前に十分な机上検討を実施し、やり直しのない開発を目指すことが重要と考え、 その机上検討プロセスに流れ解析を導入しました。

Q2

PumpLinxを導入した経緯を教えて下さい。

当社のエンジン系主力製品にオイルポンプがあります。構造に内接ギヤ式を採用しているので、 流れ解析で吐出性能を予測するには、ロータの回転に伴うギヤ間の空間変形を考慮した計算や、 高速回転時のキャビテーションによる吐出量低下を考慮できる必要があります。 当初導入したツールでは、空間変形へのメッシュ追従が困難であったことや、 キャビテーションの考慮が困難であったことから精度面に課題がありました。 そこで、そういった課題を克服できる可能性のあるPumpLinxの検討を開始しました。

PumpLinxでは、内接ギヤに対応したメッシュにより空間変形に順応でき、キャビテーションに対しても、 気泡率の考慮で計算ができることが確認できました。また、従来手動で実施していたメッシュ作成も、 自動で容易に行えることから、設計者への展開もしやすいと考え、導入に至りました。

Q3

PumpLinxをご評価いただいている点は?

空間変形に追従させるためのメッシュ作成は一般的には他ツールであれば、 専任者のみ扱えるようなスクリプト機能等を用いて独自にカスタマイズしなければならず、 一筋縄ではいかない工程でしたが、PumpLinxでは、テンプレートメッシュ機能を用いて自動でメッシュが作成できます。 これにより、解析準備でのモデル作成に多くの工数を割かれずに済みますし、 手順を標準化して、設計者へ展開することも容易にできました。 これにより、設計プロセスへの組み込みが容易となり、設計者自らがPumpLinxを活用して設計検討、 図面反映するしくみが構築できた点がよかったと考えています。 計算精度については、メッシュの作成方法に多少依存しますが、 例えば仕様を変えた際の油圧脈動の傾向予測には十分使えるレベルにあると考えています。

Q4

PumpLinxを使っての今後の予定、PumpLinxへの希望などを教えて下さい。

今後、最適化計算のしくみを構築していくことを考えていますが、 複数ケースの計算を流すとなると計算時間がかかることで納期を圧迫してしまうことが想定されます。 大規模並列計算に対応させるなどで、更なる計算の高速化に向けたツールの改良をして頂けると助かります ※1

また、計算精度に関しては、形状によっては他ツールと比べると、 若干メッシュを細かくしないと圧力や流量の予測精度が担保できないようなことがあります。 また、局所的にメッシュを細分化したいような場合には、 その操作性が他ツールと比べると劣っているので、 更なる機能の改善を期待したいです※2

追記

※1 後日、PumpLinxの開発元Simerics社にインタビュー内容を伝えましたところ、 “mpiを用いた分散メモリ型並列処理の機能を実装しており、 年度内に開発バージョンを提供できるよう、準備を進めている”との返答がありました!

※2 数式エディタに指定した空間領域のメッシュを局所的に細分化する機能が、 次のバージョンから使用できるようになります! これ以外にも、局所細分化の領域指定に関する操作性の向上や、 解適合格子機能の開発・実装など、引き続きPumpLinxの機能強化に取り組んでまいります!