概要
ZnO単一層への空孔やY添加が与える特性の変化
半導体ベースの技術として、トランジスタやダイオードなどの半導体素子に加えて、光触媒への用途も注目されています。
半導体光触媒にはTiO2、CdO、ZnOなどがあり、それらは優れた電子的および光学的特性、非毒性、および低コストなどの特徴を持っています。 その中でもZnOは、高い化学的安定性、高いキャリア移動度、大きな励起子結合エネルギーなどの特性を備えているため、特に注目されている高活性半導体光触媒です。 また、半導体ベース光触媒の可視光収集能力を改善する手法として、金属添加がしられています。 例えば、ZnOフィルムへのイットリウムが添加は、フィルムの可視光透過率を低下(可視光の吸収係数が上昇)させる、などがございます。 そのような半導体ベース光触媒について報告しているこちら論文では、計算にMaterials Studioを使用し、ZnOベース半導体のバンド構造やPDOSなどを比較しております。 |
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手法
計算モデルと手法
ZnO単層膜を基本とした4種類の構造を計算モデルに使用しました。
Znの空孔があるもの、Zn空孔がありかつイットリウム添加されたもの、Oの空孔があるもの、O空孔がありかつイットリウム添加されたものの4種類です。
また、これらのモデルは全てCASTEPモジュールを使用して構造最適化されています。 これらを見ると、4つすべての構造の空孔周辺において構造の歪みが見られます。 モデルの構造最適化には、周期的境界条件の計算に特化しているCASTEPモジュールを使用しました。 |
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結果
文献にて求められた物性値と考察
上の画像は文献にて求められた物性値(左:誘電率 右:吸収曲線)を表しています。 例えば、吸収曲線のZnO単分子層の黒線のピークは4.0eV付近にあります。 しかし、イットリウムが添加された赤線のY-ZnOにおいては1.2eV付近に新しくピークが形成され、かつ4.0eV付近のピークでは長波長遷移も見られています。 空孔もピークに影響を及ぼし、イットリウムが添加されかつ酸素空孔があるY-VO-ZnOを表す橙色においては、全体的に吸収係数が高くなっていることがわかります。 このことから、イットリウム添加と原子空孔は可視領域の吸収係数を高め、光触媒作用としての可能性があると考えられます。 |
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