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概要

グラファイトアノード上のLiイオン拡散エネルギープロファイル

Liイオン電池で使用されているアノードの一種としてグラファイトがあり、 この材料は幅広く使われているアノードであるとともに最大リチウム理論容量を増やすための改質対象ともなっています。 その改質されたグラファイトの一つとしてホーリー構造のグラフェンがあり、これはグラファイトに穴をあけることでイオン貯蔵のための広いスペースを確保する改質法です。
本論文では、ホーリーグラファイト内におけるイオンの拡散エネルギーをプロファイルすることで、ホーリー構造の効果に対しての議論をMaterials Studioを用いて行っております。

keyword

  • 理論容量:充放電反応において、電極が許容可能な金属イオンの量を電荷へ換算した値を指します。
  • ホーリー構造:グラファイトの様な2D構造をもつ材料に多孔性や穴を加えた構造です。

  • Reference

  • C. Yang, et al., Electrochimica Acta, 20, 136244(2020).

  • 手法

    計算モデルと手法

    イオンの拡散エネルギーをプロファイルするには、移動したイオンごとにエネルギーを求め、反応座標をとることで解析可能です。
    そこで、ホーリー構造処理が行われていないグラフェンIGA、ホーリー構造処理を行ったグラフェンHGAに対してプロファイルを行いました。 このプロファイルをIGAやHGAの構造か、イオンの移動が同一平面かそうでないかに対して行うことで、ホーリー構造処理の効果を解析しております。
    こちらの論文内では、量子力学計算に幅広い計算対象を取ることが出来るCASTEPモジュールを使用しております。

    keyword

  • CASTEP:DFTに基づいた量子力学モジュールです。半導体、金属などの固体材料を計算することが出来ます (データシート参照)
  • 結果

    求められた物性値の考察

    上にアノードにおけるLiイオンの移動経路と反応座標におけるエネルギープロットを示しました。
    このプロファイルの特徴としては、Liイオンの移動が同一平面状である場合そうでない場合のどちらにおいても ホーリー構造処理を施すことで拡散経路のエネルギー障壁が小さくなっていることが挙げられます。
    したがって、LiイオンはIGAよりはるかに容易にHGAの穴を横切って拡散され、 おそらくLiイオン電池の充放電プロセスを促進することが出来ると推測されます。